麻生副総理、国会で国鉄分割・民営化の誤りを認める

2017/02/10

われわれはいまだ、歴史から抹殺された訳ではない

= 無謀な国鉄分割・民営化によって人生を破壊された仲間たちに、
命を奪われた仲間たちに、自民党政権が謝罪することを要求する! =

【元国鉄労働組合新橋支部組合員 久下格】

 自民党政権の副総理が、国会で国鉄分割・民営化の誤りを認めました。

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× JR分割、「商売わからない人が考えた」×
= 麻生副総理 =
 (JR北海道の経営危機について)この話は商売のわかっていない「学校秀才」が考えるとこういうことになるという典型ですよ。国鉄を7分割(・民営化)して「黒字になるのは三つで他のところはならない」と当時から鉄道関係者は例外なく思っていましたよ。「分割は反対」と。経営の分かっていない人がやるとこういうことになるんだなと思ったが、僕は当時力がなかった。今だったら止められたかもしれないとつくづく思う。JR北海道をどうするという話は、なかなか根本的なところを触らずしてやるのは無理だろう。(8日の衆院予算委員会で)
2017年2月8日15時01分(朝日新聞デジタル配信)
http://www.asahi.com/articles/ASK284RPKK28UTFK00G.html
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 30数年前、私の所属していた国鉄労働組合は国鉄の分割・民営化に反対し、組織をかけて闘っていました。それに対して、自民党政権と国鉄当局は、法と道理を無視したあらん限りの組織攻撃によって国労を弱体化し、反対運動を解体しながら分割・民営化を強行しました。この過程では7000名を超す労働者が新会社への採用を拒否され、最終的に1047名の労働者が解雇されましたが、そのほとんどは分割・民営化に反対した国労・全動労の組合員でした。そして、不当解雇された1047名とその家族は、その後20年にわたる解雇撤回闘争を闘わねばならなかったのです。
 国鉄の分割・民営化が北海道・四国・九州三島会社の切り捨てにつながるという主張は、国労が分割・民営化に反対した大きな理由の一つでした。麻生副総理の言葉によれば、鉄道関係者は例外なく(少なくとも)「分割は反対」だと思っていたにも関わらず、国鉄の分割・民営化は『商売のわかっていない「学校秀才」』たちの手によって強行され、それに反対して闘った国鉄労働者は『商売のわかっていない「学校秀才」』たちの手によって解雇されたわけです。
 麻生氏は、分割・民営化反対闘争の過程で、100名とも200名とも言われる労働者が自殺したことを知っているのでしょうか? たぶん、知らないのでしょう。そうでなければ、副総理としての国会答弁の中で、こんなにも軽々とした言葉を吐くことはできない。麻生氏は、「僕は当時力がなかった」から責任がない、自分とは関係がないとでも思っているのでしょうか? 政府が法と道理を無視して強行した分割・民営化の責任は、政府がとらねばならない。
 麻生氏はたぶん、もうあの日々のことを、とやかく言う連中などいないと思っているのでしょう。しかし、弱体化したとはいえ、国労はJRの中で闘い続けています。そして何より、分割・民営化の過程で人生を破壊された多くの国労・全動労組合員とその家族、自死を遂げた国労・全動労組合員の家族は今も生きているのです。われわれはいまだ、歴史から抹殺された訳ではない。
 政府自身が国会の場で、国鉄分割・民営化の過ちを認めた今、私は、無謀な国鉄分割・民営化によって人生を破壊された国鉄労働者とその家族に、そして命を奪われた仲間たちに、今こそ自民党政権が謝罪することを要求します。

↑パンフレット「俺たちのナッパ服はどこへいった?」より

↑パンフレット「俺たちのナッパ服はどこへいった?」より。右から2人目は33歳の私です。若かったなあ。(笑い)。 苦しかったけれど、闘っていたころが一番楽しかったのです。

↑パンフレット「汽笛よ響け」より