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国労第64回臨時全国大会

■■ 委員長あいさつ ■■

 主催者あいさつをした高橋義則委員長は、昨年の定期大会以来、本部が提起した補強方針案、改革法承認の臨時大会開催の是非をめぐって組織内で激論が続いてきた経過をふまえて、冒頭に「結果として組織内外で混乱が生じたことに対し、組織の責任者としてお詫びする」と発言、「中央委員会以降、政党間協議の窓口である社民党との協議を軸に、緊密な相談、さらには水面下で与野党の関係者にも協力をいただいた上にたって、三月三日に行われた自民党村岡幹事長代理・武部副幹事長、社民党漬田政審会長、私との四者会談で、『解決の道を開くことができた』と確認できた。私は組織の責任者として、『改革法を認める臨時大会の開催』を表明した」「弁護団からは改革法を認めることで東京高裁控訴審ヘの影響がないことを確認している。これまでの組織内の討論を踏まえ、国労の総団結、総結集のため『方針案の補強』五項目のうち二項目以下については今大会で取り下ろす」と報告。
 また、「国労を信じ、仲間を信じ、歯を食いしばって頑張ってきたのは組合員である。組合員の犠牲と苦闘の上に今日の国労がある。労働組合は労働者の自主的組織であると同時に、職場の組合員によって成り立っている。本部をはじめ各級基幹役員は常に組合員の利益を守るために存在していることを忘れてはならない」
「私は国鉄闘争で被った組合員の犠牲の重み、闘争団の心情や要求を真正面から受けとめ、名実ともに本部に対する信頼を取り戻し、勝利解決に向けて奮闘する決意でいる」と表明し、本部に対する集中と国労の総団結を呼ぴかけた。

■■ 提起された方針 ■■

 宮坂書記長は方針提案で、「中央・地方における運動の盛り上がりを背景に、3月3日、委員長も同席した政党間協議で、不採用問題解決へのメドが立ったことを確認し、臨時全国大会開催の指令7号を発した」と述べながら、(1)202億円損害賠償事件の和解時や1996年8月30日のJR各社への申し入れ、一昨年の第62回定期全国大会等々の態度を堅持し「国鉄改革法」を認めることを明らかにする。(2)三島会社及び貨物会社の経営改善等の未解決問題の解決に向け引き続き全力をあげる。(3)その上に立って、健全かつ正常な労使関係を確立し、21世紀の基幹鉄道として持続的に健全な発展に寄与する。(4)第63回定期全国大会で提案した方針(案)の補強「解決局面から解決へ」の2項目以下については、取りおろす−−と説明。また「解決の基本は、政治の責任での解決を求め、具体的には政・労・使の解決交渉テーブルでの和解解決を基本とする。臨時全国大会以降、解決を阻止・妨害する動きや、国労内への介入、分断が予想される。政府、関係省庁、政党、JR等々の対応は本部一本とした統一対応とする」の考えを示した。

■■ 討論では賛成8、反対2 ■■

 方針提案に対する討論では10人が発言し、要旨以下が述べられた。

 「名誉回復、JRへの復帰を基本とした全員の雇用確保を明確にして闘い、12年間闘ってきて良かったといえる解決をはかるべきだ。改革法承認は路線転換ではなく解決に向けた土俵に上がり、真剣勝負を始めることだ。そのためにも、新橋支部の闘いに学び、決戦にふさわしい行動を起こさねばならない」(九州・田口)

 「臨時全国大会の本部方針を全面的に受けとめ、本部方針を支持し、1日も早い解決を勝ち取るために全組合員の総団結で闘っていく決意でいる」(北海道・関口)

 「国労の総団結をはかる臨時大会である。国労はさまざまな障害を乗り越えて団結してきた伝統ある組織であり、この伝統を一層発展させる取り組みをしていきたい」(近畿・田中)

 「臨時全国大会で改革法が仮に承認されても不同意であることを地本として決めている。解決のメドをつけるために臨時全国大会を開催し、改革法を承認せよという意見が多くある中で、高橋委員長を先頭にして本部がメドづけをしたことは大いに評価する。全面解決にむけて重要な局面にある時期であり、内部の論争はここで一旦終止符を打つべきである」(千葉・土井)

 「委員長を先頭にした中央委員会の下に、全国の機関が一つになった具体的な総団結・具体的な行動がないと勝てない。下駄を履くまでは武装解除せず、抽象的な言い方だが本当に闘って良かったと言える具体的な成果をあげたい」(闘争団・神宮)

 「改革法承認は、要求実現を前進させるために承認をはかるべきだ。しかし、無原則的にすべてを認めることではない。本部を信頼して、総団結・総決起をはかり、全民主勢力と全政党の結集によってJRを追い込んでいく闘いが必要である」(北海道・牧田)

 「組織対立と混迷を持ち込み、今日まで議論と意見を集約せず、臨時全国大会を決断しなかった本部の指導性に疑問を持つ。しかし、遅きに失したとはいえ臨時全国大会の決断に安堵する。改革法承認は、政労使の解決交渉の条件の一つであり、解決交渉が始まるまでは闘いの手を緩めるわけにはいかない。また、過去の差別、現在の差別の責任追及の闘いはやめるわけにはいかない」(秋田・矢尾)

 「解決水準は解雇撤回に置くべきだ。この間見てきて本部一本化の提起は、各エリアを含めて確認すべきだ。また、闘いを支える大衆行動を提起して欲しい。臨時大会の重要性は認識するが、改革法の承認には反対する。改革法によって首を切られた事実があるからだ」(北海道・工藤)

 「臨時全国大会を歓迎し、提起された方針を支持する。また、大衆行動、JRでの闘いを起こすには、改革法の議論に終止符を打つことが必要だ。解決水準・解決要求については、不当労働行為事件の解決をはかるという基本的な立場を堅持するべきだ」(九州・吉久)

 「この臨時大会はスタート地点に立ったということであり、これからが正念場。一枚岩の団結をさらに強化していく指導を。妨害・分断の動きも顕著になる。今後、政府・関係省庁・JRとの対応は本部一本の統一対応とし、エリア・地方が勝手きままに対応することは厳に慎み、組織原則に基づく統一対応をはかるべきだ」(東京・阿部)

■■ 書記長集約の後、満場一致で方針採択 ■■

 10人からの発言を受けて行った宮坂書記長の集約では(1)解決のための臨時大会は成功した。成功した背景には10年余にわたる組織内外の筆舌に尽くせない闘いがある。闘いによって切り開いてきた情勢は、社民党をはじめとした政党の枠を超えた政治の場での解決という動きであり、財界、労働界からの、正常な労使関係を希求する働きかけにも象徴されている。JR内労使からも「解決へ」という気運の高まりが表面化している。(2)困難はこれから始まる。要求は、政府の主導で政労使の解決交渉テーブルでの和解による解決であり、解決水準を高めることに全力を上げる。本部・エリア・地本・地区本部・支部・分会・闘争団が、それぞれの持ち場で全力を上げ、解決交渉等は本部を窓口に統一対応する。(3)大衆行動を基本に、労働組合としての当たり前の活動を強化し、特にJR東日本のゆがんだ労務政策を改め、正常な労使関係の確立に向け、幅広い共同行動を積み上げる−−と簡潔に述べた。
 代議員はこの集約を満場一致の拍手で承認し、大会方針が決定した。

(国労機関紙「国鉄新聞」'99/03/26号より、一部省略、見出を変更して転載。)

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■■ 採択された方針(抜粋) ■■

II. 労使紛争の早期かつ抜本的な解決
1. 私たちは、国鉄改革法により国鉄が分割・民営化され、推移しているという事実の上に立ってこの間運動を進めてきた。
 202億損害賠償事件の和解時や、1996年8月30日のJR各社への申し入れ、一昨年の第62回定期全国大会等々の態度を堅持し「国鉄改革法」を認めることを明らかにする。
 国労は「鉄道交通政策」を提言してきたが、三島会社及び貨物会社の経営改善等の未解決か大の解決に向け引き続き全力をあげる。
 その上に立って、健全かつ正常な労使関係を確立し、21世紀の基幹鉄道として持続的に健全な発展に寄与する。第63回定期全国大会で提案した方針(案)の補強「解決局面から解決へ」の2項目以下については、取りおろす。
2. 私たちは、解雇撤回・JR復帰をはじめ労使紛争の早期・抜本的な解決にむけ、内部の団結を固め共闘の輪を広げ、万全の闘争体制を確立しなければならない。解決の基本は、政治の責任での解決を求め、具体的には政・労・使の解決交渉テーブルでの和解による解決を基本とする。臨時全国大会後、ただちに政府、関係省庁、各政党に早期解決の要請行動を行う。
3. (以下略)

('99/03/18) 

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