●「医療介護総合推進法」中の介護保険改定の方向性
引き続き4月に予定されている介護保険の改定の動きを追っていきます。前回紹介した「医療介護総合推進法」の概要では囲みの部分です。要するに介護予防=要支援施策が地域支援事業に移行になります。
●地域支援事業の今、大田区では
囲みの@の部分、「地域支援事業」とは大田区がこれまで介護保険以外高齢者福祉の事業として取り組んできた高齢者住宅改修費助成・家族介護者支援ホームヘルプサービス・紙おむつ支給・出張理容サービス・健康回復鍼灸マッサージなどでした。予防給付(要支援対象者)訪問介護・通所介護が地域支援事業に移行するということはこれまでの訪問介護・通所介護の事業所にとって運営上の様々な課題を抱え込むことにつながります。人材配置基準が緩和=デイサービスの利用人員は変わらず報酬単価が下がる可能性、介護の質の低下が考えられます。家事支援のほとんどが介護保険の対象外になり在宅ヘルパーの所得確保が困難になります。この予測は介護保険の暗転の予測です。地域事業として保険料徴収や地域保健計画実施の責任自治体として独自に地域支援事業を構想していくとしたらどうでしょう。
●志し依存では限界
ぱんぷきんでは、会発足当初は非営利の家事援助・お弁当の調理配食・車いす対応の車両による移送を行ってきました。資金も何もないところから活動を始められたのは地域福祉振興事業による運営費1/3の支援を受けられたからでした。大田区の食事サービス活動団体助成制度も利用してきましたが振興助成から自立するには介護保険制度の発足と障碍者自立支援のヘルパー派遣の制度に移行することが必須の条件でした。それでやっと非営利活動の赤字分を補てんして運営できていますが、恒常的な人手不足(非営利家事のみの協力者はヘルパー講習助成を行いヘルパーとしての単価に移行する)と非営利協力者には東京都の最賃ぎりぎりの謝金で協力いただく状況です。地域福祉の志だけでは事業は持ちません。
在宅での生活援助事業は生活面を重視した医療・介護改革の要にあると思います。これまで育ってきた介護事業・介護人材が希望をもって取り組め、地域に根づく施策が求められています。
3.地域包括ケアシステムの構築と費用負担の公平化(介護保険法関係) | |
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(1) | 在宅医療・介護連携の推進などの地域支援事業の充実とあわせ、全国一律の予防給付(訪問介護・通所介護)を地域支援事業に移行し、多様化 ※地域支援事業:介護保険財源で市町村が取り組む事 |
(2) | 特別養護老人ホームについて、在宅での生活が困難な中重度の要介護者を支える機能に重点化 |
(3) | 低所得者の保険料軽減を拡充 |
(4) | 一定以上の所得のある利用者の自己負担を2割へ引上げ(ただし、月額上限あり) |
(5) | 低所得の施設利用者の食費・居住費を補填する「補足給付」の要件に資産などを追加 |
(厚生労働省ホームページより)
(石川みのり ぱんぷきん)