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大田の景気は? 〜最新報告(主に東京商工リサーチより)〜

はじめに

 アベノミックス効果を政府や大新聞そして御用学者たちはもてはやすが、果たして大田の街では景気はまあまあなのだろうかーーー?
 区の最新の統計・情報も見つかったから、独自の取材も加えつつ、その現状をご報告する。なお、今回は誌面に限りがあるので、まずは区民の誰もが実感しやすい街の景況ーーーつまり大田の小売業等についてご報告したい。製造業・町工場等は次回にご報告させていただく。

今の景気・今後の見通しは??

 今回の区の産業振興課(商工リサーチ)の最新調査報告(2014・1−3月期)のまとめでは、次回にご報告する製造業も含めて、現場の人たちの実感は「曇り」及び「曇り/雨」マークとなっている。つまり、景気は曇り程度及び小雨もーーーという実情のようだ。
 また、どの業種も今後の見通しについて、「厳しさを増す、・雨/曇りマーク」と見込んでいた。
これを知って、区民の誰もが「同感です」であろう。アベノミックスは、政府自らが認めざるを得ない通り、大企業へだけの恩恵である。政治献金をしてくれる身内だけへの優遇。国民は無視。そして、新たに考え出した「地方創世」の掛け声は、政府はポーズだけだろうと国民の誰もが呆れている。

それでも、僅かながら

 では、今回の調査に対して昨年秋と比べるとどうなのか。一応見てみると、大田の全ての業種で昨年秋は最悪の「雨」マークであった。そして見通しでも当時は「雨」マーク。これに比べれば「曇/雨」マークは、少しはましでしょ、というレベル。それを景気は回復とはさすがに言えず「景気は回復基調」と、政府は大宣伝をかけているようだ。

では、商店の現実の声は??

〇景気は上向きと報じられていますが、いわゆる街の商店は少しも良くなっていません。決算期の消費税の支払いが今から重荷です。
〇家電店は、客を大型店やネットに取られ、地域に5店あったものが、今では2店になってしまっています。地域のマンションは増えても、これら住民は電球ひとつ買いに来ません。たまに来る客は、我々に言わせるとつまらん修理の事を「聞きに来る」だけ、これが大手企業優先の現状です。
〇増税の割高感が消費の意欲を冷やしています。消費税の8パーセントより、割安の10パーセント全品割引セールを打ってみたが売り上げは伸びません。
〇増税による買い控えがひどく、明らかに消費のマインドを下げており、売り上げの低下が顕著です。
〇客数の減少に加え、仕入れ価格の上昇が販売価格に転嫁できずに泣いている。
〇私の所は売り上げはまあまあだが、仕入れ価格の上昇率が大きく、収益は低下している。
〇増税が負担となり、商品を販売してもサービス状態になりつつあります。
〇インターネットでの販売もしているが、大手運輸会社の急な2倍もの値上げに当惑する毎日。値上げできるのはやはり大手ばかりかーーー。
〇仕入れの支払いに対する条件が厳しくなり、運転資金の不足、借り入れの不可、で四苦八苦。だが、政府や日銀は、金融や貸付は緩和しているという。街の個人商店には、何時も厳しい対応の政治に困り切っている。数字でのみ見るのではなく、「頑張っている」と言う視点でも、ものを見るのが政治ではないのか。

大田では構造的問題も、増してきた

〇客は大型店に集まってしまう、小売店に来ても買う金額は少ない。その上、客はお年寄りばかり。
〇飲食業は基本的にオーバーストアとなっている。しかも赤字店と繁盛店の差は広がるばかり。チェーン店ばかりが繁盛。
〇この先いつまで営業出来るか分からない。倒産寸前です。
〇周辺に大型店あり、売り上げはますます減少。客は明らかに大型店に流れている。

そして、納得のご意見・論点も

○蒲田の商業エリアの個人商店オーナーだが、駅周辺はパチンコ・カラオケ・飲食チェーン、サービス業が大半を占めており、「没個性化」のみだ。飲み屋街の「ディープ」と「レトロ」は再開発で消えつつある。駅前整備も都市計画と共に推し進められているが「にぎわう個性あるエリア」を想像する視点はどこにもなく、真の総合的対策が必要であろう。再開発も、単に交通施策に特化していて大切な本論の部分が抜けている。これでは大型店を勢いづかせるばかりではないか。

〇コンビニを経営しているが、各チェーンは新規出店を計画し、売り上げも増加しているようだが、我々のようなフランチャイズの店(個人店主の店)は非常に厳しい状況である。

大手のえげつなさに怒り

 区のアンケートの意見にあったように、大型店、チェーン店等の大資本の進出ばかりが目立ち、個性的な地域のお店が消えていく昨今だが、消費増税と、街自体の集客力の低下がこれに追い打ちをかけている実情が伝わってくる。
また、アンケートの最後にあった、絶好調のコンビニにも、変化が表れ始めているのには「やっぱりねーーー」という印象をもたざるを得ないのではないか。以下は本誌聞き取りでのコンビニ店主のご意見。
 「コンビニについて外見では消費者は分からないだろうが、業界全体の状況は一変してきている。以前は個人店主のコンビニも売り上げは右肩上がりでしたが、大手側は、この地区は売れるとみると、すぐに直営店を出してきます。しかもより良い立地に出店してきます。今どきは土地はいくらでも空いており借りれるから、より便利な場所で、資本もたいしてかからずで、大手は楽に出店してこれます。そして、結局は同じ店舗が競合し、個人側が負けてしまう。ひとことで、初めの様子見は、つまり初期リスクは個人店主でやらせる。そして、「行ける」となったら独自に出店し、客を奪って、儲けてしまう。昨今は大手もやり方が「えげつないねえ」というのが業界仲間の怒りだし、本音トークです。ひどい時代に入ったものですよ」

 

大田の小売業。経営上の問題点・ランキング
1位売り上げの停滞・減少
2位同業者間の競争激化
3位利幅の減少
4位取引先・顧客の減少
5位商店街自体の集客力低下

(区内在住ジャーナリストN)

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