2014年が折り返し後半に入って初日の7月1日、安倍政権は歴代の自民党政権がこれまでやろうとしてもどうしても憲法解釈上許されないとされてきた集団的自衛権の行使容認を閣議決定した。戦後70年近く、日本国憲法の平和主義のもとで海外での武力行使を禁じてきた日本にとって、歴史的大転換期を迎えようとしている。立憲主義を否定し解釈改憲で集団的自衛権の行使容認を行おうという安倍政権に対し、「閣議決定を撤回せよ」との国民の声は日増しに高まりつつある。
非道な閣議決定前に
このような緊迫した状況の中で、今年35回目を迎えた「大田・平和のための戦争資料展」が8月15日(金)から17日(日)までの3日間、下丸子駅前の大田区民プラザで開催される。実行委員会では、展示テーマ、展示内容について何度も集まっては検討を繰り返してきた。その結果、標記のように「戦争への道は足もとから 〜若者たちの明日は?〜」というテーマで開催することに決定した。 戦争が始まってから反対してももう遅い。また、実際に戦場に駆り出さて血を流すのは若者たちなのだから、多くの若者たちの関心を喚起し、来場してもらいたいという思いで決めたテーマである。
軍靴の響き次第に
「これから侵略戦争を始めるぞ」といって攻撃を始める国はない。開始の口実は決まって「自衛のため」だ。安倍首相も口を開けばしゃあしゃあと「国民の命と暮らしを守るため…」と繰り返しているが、実際はいかに国民の命と暮らしを危険にさらしていることか。「満蒙は日本の生命線」と国民の危機感をあおり、中国に侵略していった歴史を忘れてはいけない。行きつく先は膨大な犠牲と消えることのない憎しみだけだ。
再び軍靴の響きが近づいてきている。足もとに迫っている。軍事法制とは車の両輪のように国のために身を捧げる愛国心教育が進んでいる。政府の圧力、介入はますます厳しくなり、教科書会社も生き残りをかけて政府の意向を受けて、自主規制し始めている。国定教科書化が進行しているのだ。
自衛隊では住民基本台帳で全国の18歳の住所を調べ、募集案内を送りつけている。格差社会の中で将来の希望を失った若者たちが取り込まれていくのが怖い。
今だからこそ是非お越しを
資料展の詳細については同封のチラシを参照してもらいたいが、今年も「東京の満蒙開拓団を知る会」と「公正な教科書採択を求める大田区民の会」が展示に参加している。また、解釈改憲の危機の中にあって、憲法九条を守ろうと踏ん張っている区内の九条の会などの活動も紹介する。さらに桂敬一さんの講演など多彩な催しも計画されている。
お盆休み中の開催で、いろいろ楽しい予定も控えていることと思うが、ぜひ多くの方々に会場に足を運んでもらいたい。また展示作業を手伝っていただける方も求めている。過去の歴史に学び、二度と戦争をしない平和で住みやすい社会の実現を目指して一緒に頑張っていきましょう。
(実行委員・多田鉄男 新蒲田在住)