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医療・介護法が成立して
どう変わる、大田区の高齢者支援策

 6月18日、「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律」が自民・公明与党の賛成により成立した。これにより医療関係法律は今年の10月から、介護関係は来年4月から大きく変わることになる。消費税の増税分がつぎ込まれる「税と福祉の一体改革」の中身になる重要法案にも関わらず参議院の採決時「審議不十分」等野党が反対する中強行採決された。国会内の「集団的自衛権」をめぐる動きの陰に隠されての感がある。

●「医療介護総合推進法」概要

1、新たな基金の創設と医療と 介護の連携強化(地域介護施設 整備促進法)
@地域介護施設整備促進基金を都道府県単位に置く
A「医療と介護の連携強化基本方針」を厚生労働大臣が確定する
2、地域における効率的かつ効 果的な医療提供体制の確保 (医療法関係)
@医療機関が都道府県知事に病床の医療機能(高度急性期、急性期、回復期、慢性期)等を報告し、都道府県は、それをもとに地域医療構想(ビジョン)(地域の医療提供体制の将来のあるべき姿)を医療計画において策定
A医師確保支援を行う地域医療支援センターの機能を法律に位置付ける
3.地域包括ケアシステムの構築と費用負担の公平化(介護保険法関係)
@在宅医療・介護連携の推進などの地域支援事業の充実とあわせ、全国一律の予防給付(訪問介護・通所介護)を地域支援事業に移行し、多様化※地域支援事業:介護保険財源で市町村が取り組む事
A特別養護老人ホームについて、在宅での生活が困難な中重度の要介護者を支える機能に重点化
B低所得者の保険料軽減を拡充
C一定以上の所得のある利用者の自己負担を2割へ引上げ(ただし、月額上限あり)
D低所得の施設利用者の食費 ・居住費を補填する「補足給付」の要件に資産などを追加
(厚生労働省ホームページより)

●地域包括ケアシステムの構築は市町村の自治で進めるべき

 介護保険関係では地域包括ケアシステムの構築の方針として施設は介護度の高い人に限定し予防給付=要支援対象事業(訪問介護・通所介護)は地域支援事業に移行する。区内20か所にある包括支援センター(さわやかサポート)に昨年地域のネットワークをつくるための増員予算が決まった。地域の介護力の組織化を包括支援センターにネットワーク担当をおいて地域包括支援体制を作りたいのが大田区の施策だが、要介護高齢者3万人(要支援1万)に上る大田区で20ヵ所の包括支援センターの体制では無理。予防給付のケアプランを包括支援センターだけでかかえきれず他の支援事業者に下請けさせている現状なのに、さらに関係者会議を重ねるような方向性では利用者に寄り添った地域包括ケア計画を展望できないだろう。
 地域支援事業を充実させるためには介護人材の確保、予防介護の家事援助・生活援助の充実(外出支援同行含む)が欠かせない。地域力として町会組織にも生活サポート活動が作り出されつつあるが高齢者が高齢者を支える助け合い活動に頼るのではなく次世代につながる地域包括ケアシステムを構想したいものだ。

(サポートぱんぷきん・石川みのり)

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