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【羽田空港ウォッチング】またも運用枠増要求
住民には目もくれず北からの進入コース設定

 国交省は6月6日、「有識者会議」なるものの承認を得たとして、44.7万回で打ち止めとされていた羽田空港の年間運用(発着回数)枠を、さらに4万回程度膨らませるとの方針を明らかにした。オリンピックを口実に、A、C滑走路への北側からの進入コース、及びD滑走路から西側に離陸し都心方向に旋回するコースなどを新設するという。
 まずこれらのコースがどのような場所の上空になるのかを実感していただくために、各滑走路の位置関係や、これまでの飛行コースなどをあらためて図で示してみたい。

図―1は、今回国交省が発表した新設コース。
図―2は羽田空港の滑走路位置と周辺の関係。
図―3は国交省から大田区に提示された(2009年5月)現行の飛行コース。

 ただこの図で点線で示されたコースは、長年住民が反対していたコースであり、北からA滑走路に着陸する飛行は認められず、A滑走路から北への離陸は、早朝3便のみに制限され、いずれは廃止となる。
図―4は、上記現行コースをもう少し広い領域で示したもの。
 見る通り新設のコースはいずれも、住民多数がしかも密集して暮らす居住域や、石油コンビナート直上のコースだ。したがってそのような飛行は、騒音被害を起こさないため、また住民の安全を確保するため、これまでは認めないとされてきた。もちろん住民や事業者は強く反対してきた。
 さてそれでは、このようなコース直下の条件は何か変わったのだろうか。誰もが分かるように何も変わっていない。そうであれば、その直上の飛行をこれからは認めてよい、などとする根拠は何一つない。そればかりか羽田空港の北側について言えば、スカイツリーの出現やタワービルと言われる超高層ビルの激増など、飛行の安全確保にとっての条件はむしろ悪化しているのだ。
 また前月号では、羽田空港の運用が限界的な過密に達していることの一端を、着陸やり直し回数の激増状況で明らかにしたが、今回の運用拡張方針は、羽田空港が直面しているそのような現状も何一つ真剣に受け止められていない、ということも示した。要するに私たちは、住民の生活も安全も、また乗客や乗員の安全も、これからは最優先で守るべき目標ではない、と言われているに等しい。
 いずれにしても今回の国交省方針は、運用についての合意をまたも反故にするものであることも含めて、大田区民にとってはまったく受け入れ不可能なものだ。区行政、区議会に対する圧力を一層高めることが必要になっている。なお、空港北側の飛行コースを認めないことに関しては、実は長年の経過がある。それらについては次号以降であらためて確認したい。

 

※ 電子版では図が欠落しています。申し訳ありません。(電子版担当)

(羽田空港を監視する会・大道寺)

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