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視聴率抜群の「花子とアン」
現在放映されている朝のNHK連続ドラマ「花子とアン」は「梅ちゃん先生」とは比較にならないほどの人気である。現実に視聴率も久々に良い。それもそのはず、このお話はいわゆる「ドラマの企画」自体がいい。今ひとつ不人気だった「梅ちゃん先生」の実在しない想像だけのお話とはまるきり比較にならない。主人公の花子さん、じつは実在した人物。山梨県生まれだが、永年大田区にいた。二六歳から七五歳まで山王に住んでいたのである。
この時代には珍しい行動的 な女性そして翻訳家
「花子とアン」は「赤毛のアン」の翻訳者・村岡花子さんのお話。しかも時代は明治から昭和にかけての「貧しいけれど、ときめいている」頃のお話である。それだけでもドラマは絶対受けると思えるがーーー事実この時代の朝ドラは今までも毎度受けてきている―――更に、筆者が「企画自体がいい」と言うのは、花子のお父さんは明治・大正の時代に社会運動をし、教育にすこぶる熱心、暮らしは貧しいものの、娘には学問をさせることに情熱を燃やした人であった。ドラマでもこの部分は事実に近く描かれている。
また、その花子の知り合う人も、市川房江、白蓮事件の白蓮などとこれだけ聞いても心躍る。「婦人新報」という雑誌の編集長をしたり、ラジオの「子供新聞」という番組のパーソナリティもし、ニュースも分かりやすく解説したという。
これだけでも「イヤー凄い人だな」と思うのに、英文の翻訳をしたことから、戦中は国賊とののしられ大森の自宅に石まで投げ込まれた。またこの自宅では「日本初の家庭図書館を開いたり」と、これだけ聴いただけでも半端じゃなく面白い人だと思いませんか、誰しも心がわくわくする。しかも大森では関東大震災も体験し、蒲田・川崎・馬込の米軍の空襲にも逃げまどったと言うーーーううん。
もちろん、ドラマの部分でこの先どこまでこれら事実が描かれるかはまだ不明だが、このドラマは確実に受けている。
大田区宣伝の絶好の好機
だが、どうしたの大田区さん?なのである。この好機を、捉えられず、大森にある「赤毛のアン」記念館は現在休館中で、花子さんの今もそのままの書斎のあれこれ用品・文具等は、デパートに貸し出し中とかーーー。はあーーー??
人気にあやかった「花子とアン」展はあっという間に三越デパートに先取りされ、あちらでは驚くほどの大行列になり、それがニュースにもなるほどなのに。「あれれ?本当は大森の花子の記念館で展示会をするべきだったんじゃないの??」と近隣の大田の奥さんたちは嘆くことしきり。
今の所、ドラマでは山梨の話が圧倒的に多く、その山梨県でも盛り上がりーーーなのだが、現実には花子は早くも5歳で家族とともに上京しているのだ。後手、後手に回る大田区さんは今後いかに?? ちなみに、区の現在の関連企画は「街歩きツアー、馬込文士村の女流文学者たち」だそうだ。
(根来冬二・上池台在住)