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連休中、羽田空港の活況を囃し立てる報道が目立った。6年後のオリンピックをめがけ、年間40.7万回(他に深夜早朝時間帯の4万回)で一応打ち止めとされている運行枠の拡大に、もう1段の圧力がかかる危険を予感させる報道だ。しかし羽田の空域はすでに十分に過密、周辺住民が耐えている騒音や安全への不安に、「余裕」などまったくない。 これらの要因が大半のゴーアラウンドを生み出している以上、現状の運用が続く限り、ゴーアラウンド発生の大きな削減は期待できない。それはまた、これ以上の運用拡大に警鐘を鳴らしてもいる。事実、D滑走路供用開始とそれに伴う運用枠拡大がゴーアラウンド発生総数の倍化に近い急増につながったのだ。これ以上の無責任な運用拡大など許されない。 (羽田空港を監視する会・大道寺)【羽田空港ウォッチング】
限界的過密物語るゴーアラウンドの現状
−増便煽り一辺倒報道に警鐘−
今号では区議会羽田空港対策特別委員会に提出されているA滑走路とB滑走路での着陸やり直し(ゴーアラウンド)回数のデータを紹介する(下表)。この飛行はいずれも区内上空へ向かうものであり、安全を脅かす可能性をはらむと共に、低高度による極度に高い騒音発生にもつながっている。実際区が測定している航空機騒音の内極度に高いものは、すべてゴーアラウンドによるものだ。
下表から分かることの第1点は、沖合移転直後時期(01年、02年)に比べ、年間総回数が格段に増大したこと。およそ6倍というすごさだ。運用拡大がはらむ危険性はここに端的に表れている。
第2に要因別を見れば、気象(気流など羽田特有の空港近傍局所気象)やバードストライクの比率の高さが目立つが、これは空港立地に特有のもの。対策を打ちようがなく、運用が拡大すればその分必ず増大につながる性格のもの。飛行間隔や、滑走路離脱も、まさに過密が生む問題。