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●近藤博子さんは何屋さん
唐突ですが、さっそく皆さんに問題です。次の「お品書き」からいったい何屋さんなのかを当ててください。「ソクラテスカフェ」「ワンコイン寺子屋」「子ども食堂」「ひと裁ち折り」「ワンコインギャラリー」「私も哲学」「ランチで英会話」「教育居酒屋」「だんだん寄席」etc。焼いた杉板に書かれた上記のお品書きが全部で13枚、店の入り口に掲げられている。何とも風変わりな店である。実はこれが八百屋さんなのだそうだ。
店の前に気まぐれ八百屋「だんだん」と書かれた手作りののぼりが立っているから確かに八百屋さんには違いないのだろう。中に入ると右側のカウンターには無農薬野菜と自然食品、雑貨などが一見無造作に所狭しと並べられている。カウンターの中はまるで居酒屋風、中央の通路の左側はカーペットが敷かれ小上がりになっている。壁面はギャラリーになっていて額に入った作品が掛かっている。
●安心できる食材を、から
店主の近藤博子さんにお話をうかがった。近藤さんはもともとは歯科衛生士をしていたそうだが、仕事を通じて「食」の重要性を痛感、安心できる食材を提供したいと2008年11月に週末だけの宅配八百屋を開業した。それが「だんだん」に現在のような「なんでも屋さん?」に発展していったそうだ。「だんだん」に手を広げていったのが店名の由来と思ったら全く違っていて、彼女の出身地である島根県安来地方の方言で「だんだん」は「ありがとう」の意味だという。現在ではこの店はレンタルスペースとして様々な人の交流の場にもなっている。
●さまざまな出会い広がる
お店のコンセプトは「年齢、性別、国籍を問わず、また障害のある人もない人も当たり前に出会い、集まれるミニ社会」だそうで、実際、聴覚障害のあるイタリア人シェフによるディナー、ミニ国際交流カフェ、手話カフェなど、バラエティーに富んだ催しが定期的に開かれているという。
経営的には決して楽ではないようだが、民間型の文化交流センターとして着実に地域に根付き、広まってきている様子が感じられた。また、最近出された『大田区本』(竢o版社)のコラムでも「だんだん」が取り上げられた。場所は池上線蓮沼駅から徒歩2分、月曜定休。お問い合わせは近藤さん(090−8941−3458)まで。
(多田鉄男 新蒲田在住)
【だんだん寄席の風景】