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南部権利春闘決起集会 ―派遣法、労働法制、佐々木亮弁護士熱弁―
「岩盤規制」こそ不可欠、絶対崩させるな!

 4月4日、午後6時半から区立消費者生活センター大集会室で南部権利春闘決起集会が開かれた。もちろん春闘盛り上げが目的だが、中心テーマは、安倍政権が一挙に進めようとしている労働法制全般の改悪との闘い。日本労働弁護団の佐々木亮弁護士が約1時間の講演を通して、様々な改悪の動きを解説した上で、安倍政権の画策を危険極まりないと断じ、絶対阻止が必要、労働組合こそ奮闘すべき、とより一層の決起を呼びかけた。

■派遣法改悪にまずノーの決起を

 現実に、事実上の派遣労働全面自由化に等しい非道な「改正案」が既に国会に上程されている。労働者の使用者と雇用者が異なる派遣労働という雇用形態は元々、その原理から雇用責任が空洞化し、人権無視を導く不公正な性格をもつ。それが論理の上だけのことでないことは、6年前の日比谷年越し派遣村をあげるまでもなく、現実の数多い事例が物語っている。したがってこのような間接雇用は当然のこととして職業安定法で禁止されている(44条)。派遣労働は、その不公正を防ぐためとして様々な規制を付けた上で、辛うじて職業安定法禁止規定の例外容認となっていたにすぎない。
ところが今回上程されている「改正案」は、この規制が分かりにくいなどと理由を付けて、規制の実効性をほとんど無にしてしまっている。派遣労働者は自らの権利保障をさらに大きく危うくされるだけでなく、生涯派遣すらも宿命付けられる。雇用責任を負わなくてもよいという「手軽さ」を大きな理由に派遣労働者を使用している派遣先企業、また人を転がすことを利益の源としている人材供給業者にとっては大きな贈り物だろうが、派遣労働者にとってはたまったものではない。派遣先企業は正規雇用の労働者をどんどん派遣労働者に置き換えようともするだろう。正規雇用労働者にとっても、さらには雇用を通して社会的責任を負う意志のある経営者にとっても、とんでもない脅威となる。
佐々木弁護士は、この派遣法改悪が以下に見るさらに全般化された労働法制改悪の突破口という位置にあると指摘、まず総掛かりでつぶそうと訴えた。

■全国総ブラック企業化などゴメンだ

実際改悪はさらに続いている。一定の年限働いた有期雇用労働者に無期雇用への転換権を付与するとした労働契約法の改正条項に、その権利を行使できる労働者が1人も生まれていない今、早くも例外を設けその道をふさぐとんでもない再「改正案」までも上程された。
 加えて国家戦略特区という抜け道を使う労働規制逃れも実行に移されようとし、第一次安倍政権の時には葬り去った過労死促進的労働時間規制外しまで、再び労働政策審議会で議論の俎上に上げられている。金銭解決方式導入による解雇規制緩和や有料職業紹介の自由化の検討、また限定正社員の導入も同時進行中だ。
 まさに全産業、全事業所のブラック企業化奨励策とも言うべき事態が現実に動いている。だれもが人間として幸せな人生を送ることのできる健全な雇用、人権の保障される長期安定した雇用をだれにも実現するために、そして社会を支えるために雇用にこそ「岩盤規制」が必要、それを壊させてはならない、佐々木弁護士のこの訴えに率先して呼応することが今緊急に求められている。

(本誌取材チーム)

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