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連載:大田区からの3.11被災地支援 これまでとこれから 第4回
原発被災地・南相馬の移送事業「さっと」(2)
〜さっと始動!の巻〜

 この連載企画の説明の中にも書きましたが、3.11直後から、大田区では、被災地支援と区内避難者支援を行うために、全国的にも珍しい、行政立のボランティアセンターである「大田区被災地支援ボランティア調整センター」を設立し、支援活動を行っています。
 このセンターは区と区民との協働による運営体制がとられ、大田区内の多くのNPOや市民団体が参画しました。詳細は4月号特集記事でふれられていますが、このセンターには運営委員会がおかれ、支援活動を課題ごとの分科会としておこなっていました。この分科会の中に、福島原発被災調査支援分科会と福祉分科会があり、南相馬の調査に行ったメンバーは、両分科会に参加していました。

■事業立ち上げに向け助成金申請を提案

 さて、「移送支援の必要性」というヒントはもらったものの、帰ってきた直後は、何ができるかよくわかりませんでした。そんな中で、「独立行政法人福祉医療機構」というところで、社会福祉振興助成金の2次募集があり、半年ではあるが助成金を受けられる、という情報を、調査メンバーの中野真弓さんが見つけてきました。
そこで、件の両分科会のメンバーと検討の結果、「南相馬で移送支援事業を立ち上げることを目的として、助成金申請しよう!」という提案を、南相馬市の事業者のみなさんにすることにしました。

 

■申請団体は、中野さんが事務局長をしている、NPO法人おおた市民活動推進機構。
■大田区側の連携団体は、福島原発被災調査支援分科会と福祉分科会の所属団体から募る。
■福島県側の連携団体は、南相馬市、相馬市の聞き取りを受けてくれた障害者支援事業、そして相馬市に避難してきている浪江町のコーヒータイム。

 

 このように、大田区と南相馬市の両者で広域ネットワークを形成し事業を実施する、という企画です。

■具体的事業内容固まる

 この案を持って、私(茂野)と中野さんとで再び南相馬市を訪れて説明と検討をし、その直後の7月10日には、「コーヒータイム」橋本由利子さん、「ほっと悠」工藤慎吾さんを大田区にお招きした現地報告・交流会を開催し、大田区のメンバーで以下の事項の確認をしました。

 

○朝と夕方に車2台を南相馬の施設間で循環させる。
○8人乗り程度のリフト付きワゴン車をレンタルで確保する。
○もう一台は現行の事業所にある車いす収納可能な軽自動車を借りる。
○ドライバーおよびガイドヘルパーは非常勤で確保する。
○鹿島区のNPO法人あさがおの理事長から事務所用地の提供を受ける。
○橋本さんに専従事務局として常駐していただく。
○移送サービスの認可等については、震災による緊急支援として、特例運用とする。
○東京でプロジェクトのサポートおよび、研究検証作業、報告書作成をおこなうための事務局を持つ。
○6か月の試験プロジェクトとして、この検証に基づき、公的支援を受けることにつなげていく。
○南相馬市と大田区の、それぞれの障害福祉団体・事業所の協働プロジェクトとして申請する。

■2011年9月事業スタート

9月にはめでたく助成金を獲得し、事業名も「あさがお」の理事長の西さんの発案により「さっと」と決定、以下の事業としてスタートしました。

 

移送支援事業「さっと」の実施

○活動目的:
交通手段を持たないために移 動困難な人に対する、障害者 対応自動車による移送支援を行う。
○実施期間及び事業範囲:2011年10月〜平成24年3月まで 週5日(月〜金曜日)祝日は休み 8時から17時頃まで 南相馬市内 主に原町地区 鹿島地区
○使用車両:
7人乗り普通乗用車、福祉車両(車いす1台乗車用)各1台
○移送目的:
施設への通所(送り迎え)、通院(精神科以外も適応)
 と、今回で完結のつもりでしたが、その後の話は次々号あたりで。

(茂野俊哉・大森在住)

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