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「公正な教科書採択を求める大田区民の会」2月定例会報告
安倍政権の「教育再生」政策と教科書問題

 2月8日(土)、池上会館において「公正な教科書採択を求める大田区民の会」(以後「教科書区民の会」と略称)の定例学習会が開かれた。講師は歴史教育者協議会の石山久男さんで、標記のテーマに基づき、安倍政権が企む教育再生という名の制度改悪と、それに対して私たちがどのように運動を広げていけばいいのかについて熱心にお話をされた。

●危険な動き総体の中で

 安倍政権は国民世論の圧倒的な反対にもかかわらず、国会議席での多数の力を背景になりふり構わず次々と強引な強権政治を展開している。消費税増税と法人税減税、TPP参加、特定秘密保護法制定、原発再稼働と輸出、労働法制改悪、集団的自衛権を行使できる体制づくりなど枚挙にいとまがないほどだ。さらに年末の靖国神社参拝は中国や韓国との関係を悪化させたばかりではなく、同盟国アメリカからも「失望」したと言わしめる状況を招いた。
 総じて戦後営々として築き上げてきた国民主権から戦前の国家主義に逆戻りする方向へと突き進もうとしているのだ。危険極まりない。

●子どものためではない教育

 この個人から国家を重んじ、国家と企業に服従し奉仕する「人材」を育成するために、安倍政権は重点政策の一つに「教育再生」を掲げ着々と実行に移している。『安倍政権のいう「教育再生」とは個人の尊厳と基本的人権を無視し、戦争体制を作り大企業の利益の最大化を狙う国家に服従する精神を育てることである。そのためにまず国家の指導者が行った行為を美化しなければならない。国家の支配者が過ちを犯すことがあるという観念を国民の頭脳から払拭しなければならないのである。そこで、日本がかつて侵略戦争と植民地支配を行い、その中で数々の人権侵害と犯罪行為を行ったという事実を抹殺しなければならない。ここに安倍政権がこだわる歴史認識=歴史偽造問題の根源がある。』(配布レジュメより)
 第1次安倍政権の2006年、教育の憲法といわれる教育基本法を改悪し、行政による教育への介入への道を開いた。さらに今回の政権では『教科書検定基準の近隣条項の廃止、教科書検定・採択への政権党の無制限の政治介入による教育内容の統制として具体化される。……教育は子ども自身のためではなく、国家教育権復活の宣言なのである。』(同レジュメ)

●広い運動とつながり

 それではわれわれはどうすればよいのか。石山さんは『まずは、あまり知られていない危険な「教育改革」の動きを広く知らせること、情勢に応じて必要な運動を幅広く目に見える形で展開すること、そして安倍政権の政策に反対する様々な運動をつないで、政治と社会の在り方の転換をはかることにつなげていくことに努力を重ねていきたい。そうした私たちの運動の広がりが、すでに改悪された検定基準についても、その具体的な運用をさせないことにつながるだろう。』と話していた。
昨年の成人式の時も大雪に見舞われ、予定していた教科書区民の会のチラシ配りが中止になったが、この日も記録的な大雪に見舞われてしまい、80人が入れる広い会場にもかかわらず参加者がわずか16名という少し寂しい中での集会であった。しかし、熱い話し合いの中で「教育を国民の手に取り戻さなくてはいけない」との思いを強くした集会だった。

(多田鉄男 教科書区民の会世話人)

 

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