ホーム > バックナンバー > 2014/02 > 反空港連絡会
11月16、17日の両日、反空港全国連絡会・泉南会議が関西空港に近い泉南市で開かれた。参加団体は、泉州沖に空港を作らせない住民連絡会、関西三里塚闘争に連帯する会、八重山・白保の海を守る会、神戸空港の中止を求める市民の会、空港はいらない静岡県民の会、羽田空港を監視する会、三里塚空港に反対する連絡会。
この間各団体が反対してきた空港開発計画は、新福岡空港計画が白紙になったことを除けば、残念ながら次々供用という段階になった。しかし各団体が指摘してきた環境破壊、安全への不安、さらに財政破綻などの問題は何一つ改善の緒にもついていない。それどころか現実には、安倍政権が声高に叫ぶ経済活性化や成長のかけ声の下、LCCの囃し立てや東京オリンピックをも材料として、航空産業拡張の声だけが突出している。
この新しい局面を直視した上で反空港運動を今後どう進めるか、これが今回の会合の主要テーマとなった。
収支改善への悪あがき
各地の現状報告は、空港運用の拡張画策だけが突出していることをあらためてはっきりさせた。
その重要な要因の一つは紛れもなく、のしかかる財政の重圧。静岡空港では、年間利用客数が予測を大幅に下回る四〇万人強水準が続く中、その打開と称しまったく実現性のない新幹線空港駅構想がまたぞろ打ち上げられているという。まさに悪あがきの上塗りと言うしかない。
さらにその悪あがきは、LCC呼び込みというもう一つの水路を通じた拡張画策にまで及んでいる。その先頭に立つのが関空と成田。ついでながら、LCC側の標的はこの二空港だけであり、その他の空港の願望は的外れ、従って現実性はない、との情報も提供された。一方関空はすでに倉庫に毛の生えたようなLCC専用ターミナル(17日に視察)を建設し、LCC利用拡大に躍起となっている。成田もLCC拡大をめざし専用ターミナル建設に乗り出す。さらにLCC向けに、23時までの現行運用時間の24時まで延長が強行されたと報告された。
運用拡張へあらゆる材料を利用
運用拡張への動きは財政問題だけが原因ではない。たとえば羽田については、オリンピック興奮状態の中、第三空港や第五滑走路などほとんど現実性のない構想まで飛び出しているものの最終的には、今は禁止されている北側空路利用への圧力が高まると報告(詳細は本誌12月号参照)。
また新石垣空港についても、LCCを含めた一層の利用増が図られるのみで、滑走路地下の危険という重大問題が完全に無視されていると報告された。
新しい問題、空港の私有化
もう一つ新しい問題が出てきている。私的資本に対する空港運用権売却だ。直接的には財政問題に端を発して、神戸空港、関空、静岡空港で持ち出されている。この問題は環境保全と安全確保に関し、LCC問題に加えて重大な危険要因だ。今後の空港をめぐる全国的な問題として対応を研究する必要が確認された。
空港に関しては、住民生活や安全を度外視する暴走が今なお続いている。反対運動の役割はまったく消えていない。会議はこの確認に立って、先の暴走にはらまれた危険が多くの人々の現実感覚となっていない原因を突き詰め、その克服を戦略的に練り上げることを今後の課題とした。
(羽田空港を監視する会・大道寺)