ホーム > バックナンバー > 2013/11 > 大田区の現状
●進む民間委託
10月16日台風26号は東京都大島に甚大な被害をもたらした。全国的にも福島原発の汚染水漏れを拡大するなど、豪雨被害は広がった。幸い多摩川は、大丈夫だつたようだ。数年前の豪雨の時には多摩川の河川敷まで水位が上がり、しばらく使用不能になった。そのとき区民から「いつになったら使えるようになるのか」という苦情が寄せられたが、大田区は公園管理の仕事を全て民間委託しているので、「正確にはわからない。各公園管理事務所に問い合わせてくれ」と答えざるを得なかった。委託事業者は、区から請け負った業務を行う契約になっていて、当然このような自然災害時の復旧も含まれているのだが、区として何時何時までにやるようにというような現場への直接指示は出せない。委託事業者の本部へ契約内容の履行を要求することしかできないのだ。
このような民間委託が大田区では次々に進んでいる。大田区内の図書館は、大田図書館を除いて全て民間に委託されている。保育園も委託が進み、かつて60園あつた区直営の保育園のうち2016年度までに24園が委託され、今後も委託を進め最終的には18園のみが区立直営として残される計画が進められている。児童館も2014年から各2館づづ三年間で6館の民間委託化が進められている。学校給食も小学校は全校が委託事業者によって行われている。また、窓口業務の民間委託も始められ、区役所一階の戸籍や住民票を発行する窓口にいるのはほとんどが民間事業者の社員である。来年度には、四階の国民健康保険証の発行窓口などにいる人たちも民間事業者の社員になる。彼ら彼女たちは、ほとんどが低賃金で不安定な雇用で働いている。
●増える非常勤労働者
また、大田区が直接雇用している非常勤労働者は、2073人、臨時職員178人となっており、大田区が直接雇用している正規職員・非常勤職員・臨時職員の33.9%に達している。非常勤職員の中には、区を退職した後も働き続けている再雇用職員も含まれているが、この再雇用職員の配置のほとんどない保育園では、保育士の41.4%が非常勤職員になつている。これは、民間委託も展望している中で新規の正規職保育士を採用していないことに大きく起因している。「五年で雇い止め」は再度の任用可能により少しは改善されたが、全く同じ仕事をしながら正規職員との格差は依然として残っている。
●依然として厳しい雇用情勢と増え続ける生活保護者
アベノミクスは「景気の回復」を宣伝するが、それは一体どこの話かというのが多くの人の感想だろうと思う。事実大田区の景気感は「大きく下降」が続いており、大田区内の工場数は、工業統計調査によるとピーク時1983年の9190の約半数の4362(2009年12月31日現在)となっている。ハローワーク大森の有効求人倍率は2013年7月現在0.56倍となっており、東京都の1.37倍や国の1.94倍を大きく下回っている。また、同月の生活保護受給者は、1万3135世帯1万6560人となっており、総人口約70万人の42人に1人が生活保護を受けているという実態になっている。
こうした中で安倍政権は、消費税の値上げと生活保護受給者へのバッシングと水際作戦と称した受給者減らしを行おうとしている。大田区政や安倍政権に対して監視の目を光らせ、人々の命と健康を守っていこう。
(区政ウオッチャー)