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子供たちがねらわれている
憲法・教育・教科書

公正な教科書採択を求める大田区民の会 講演会報告

 9月8日の夜、消費者生活センターで標題の講演会が開かれた。主催は「公正な教科書採択を求める大田区民の会」で、講師は子どもと教科書ネット21事務局長の俵義文さん。

●次々と政治が介入

 現在大田区では天皇制、戦争賛美の育鵬社の中学歴史、公民教科書が使われている。また、東京をはじめ大阪、神奈川など各地の都府県教委が教科書採択に不当に介入し、「日の丸・君が代について」「一部の自治体で公務員への強制の動きがある」と客観的事実を記述した実教出版の「高校日本史A」「同B」の採択を妨害している。その結果、東京と神奈川では実教出版を採択しようとしていた全校が別の教科書に変更するという事態が起こっている。

●安倍政権の危険な狙い

 俵さんはレジメと資料に基づき安倍政権の教育政策のこれまでの経過とその危険性を詳細に訴えた。政権発足後の「教育再生」は憲法改悪と一体のものとして推し進められ、教育の中央集権化と国家統制を徹底させるものである。国家教育権の立場を明確にし、ゆくゆくは教科書の国定化を目指している。
 第1次安倍政権の2006年、教育基本法が改悪された。それまでの教育基本法には第10条に「教育は、不当な支配に服することなく…」「教育行政は、教育条件の整備確立を目的として…」とあって、ここでいう不当な支配とは、もちろん戦前の教育への国家支配をさし、その帰結としての悲惨な結果を深く反省したからこそ、教育行政は教育内容には踏み込まず、その条件整備確立のみを目的する、と明記したものである。安倍政権はその教育基本法の精神を180度逆回転させ、再び国家による管理統制を行おうとしているのだ。
 配布された資料によると第2次安倍内閣の閣僚の極右ぶりには呆れてしまう。日本会議、神道政治連盟、みんなで靖国神社に参拝する議員の会、新憲法制定議員同盟など、戦前の天皇制軍国主義の復活を理想的国家像とする時代錯誤な連中のオンパレードである。

●区民の声の大きな結集必要

 だが、そういった議員たちを選んでしまったのも私たちである。民意を反映しない選挙制度にももちろん問題はあるが、私たちの主権者意識の欠如にもこの閉塞状況を生んだ責任の一端があるのではないか。
 俵さんは講演の最後に、「憲法、反原発、反貧困、教育、歴史認識、慰安婦など個別の問題意識に基づく運動はそれぞれ行われているが、それらを結集してトータルに極右安倍政権の反動性と戦う運動に盛り上げていくのが今後の課題だろう」と締めくくった。
 当日は朝から小雨がぱらつくはっきりしないお天気模様だったが、夕方になってから傘が役に立たないほどのどしゃ降りに変わってしまった。それが影響したのか参加者は約20名と少なかったのが残念だった。次回の教科書区民の会は10月14日午後6時半から消費者生活センターで行う。俵さんの講演の結びの言葉のように、是非とも多くの区民の力を結集して安倍反動教育行政の危機的状況に風穴を開けていこうではありませんか。

(多田鉄男 公正な教科書採択を求める大田区民の会世話人)

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