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貨物協議会・年末闘争を闘う

K. T. 

■■ 250人で本社前集会 ■■

 11月24日、国労は東京飯田橋のJR貨物本社前で国労関東六地本のJR貨物協議会を中心とした仲間、250名を結集して降りしきる小雨の中第二次貨物総行動の決起集会を開催した。司会者は挨拶の中で「JR貨物会社は今春たった百円のベアと言う長低額回答で終わった。そればかりか年度始めの事業計画で一時金については年間三、五ヶ月しか計上していない。夏季一時金が一、七五ヶ月支払われているため過去三回の交渉では年末一時金は払えても残り一、七五ヶ月だと開き直っている。それではやっていけない。我慢も限界だ」と始めた。全国貨物協議会の久松議長は「上半期で33億のショート(営業収入予想より減収のこと)、つまり事業計画が達成できないのは会社の計画が甘く、見通しが悪いことを示しているに過ぎない。貨物の構造的矛盾の解決が急務である。社員への我慢の転嫁は許さない」とその決意を語った。
 関東六地本からの決意表明では新フレート21計画による99年度700名削減の強行、乗務員の勤務改悪、業務委託や廃止、列車キロの削減など矢継ぎ早の合理化攻撃が報告された。またこの数年間年収の明らかな減収によって住宅ローンの返済にあえぐ社員、子供の教育費の捻出に苦しむ社員が増大していることへの怒りの発言があった。集会の締めくくりに、全国で同様の行動が持たれていることが報告された後、年末一時金、三、七ヶ月の獲得に向け本社に向けたシュプレヒコールがぶつけられ前段社前集会を終えた。

■■ 運輸省前で座り込む ■■

 午後からは場所を移し運輸省前で座り込み闘争に突入した。旅会社の組合員も参加した座り込み集会では上部機関などから1047名の解雇撤回闘争で国労に有利なILO勧告が出されたことや政府JRのJR貨物基本問題調査会などの報告が話された。また同時に行われた衆参国会議員の運輸委員への要請行動では、分割民営化の見直しの問題、貨物の健全経営への公的助成、整備新幹線建設による並行在来線の問題などを要請してきたことも報告された。
 延べ参加人数が400名近くなって午後四時までの座り込みの最後に運輸省に向けてシュプレヒコール、翌25日の第四回団体交渉の取り組み強化を決めて団結頑張ろうを三唱、一日行動を終了した。

(1999/11/24)

■■ 補 足 ■■

 分割民営化の見直しを含んだJR二千年問題にはJR三島、JR貨物問題が重要な問題としてある。とりわけJR貨物の問題をその最たる問題として取り上げなければならない。分割、民営化を強行した政府資本は分割民営化はJRグループが完全民営化を達成して成功すると公言していた。しかしJR貨物の場合その「構造矛盾」(レールは別会社、ダイヤ調整は旅客会社頼みなど)と「経営矛盾」(994億の負債を背負って出発、老朽設備の継承、レール使用料問題など)で負債は減らず、六年連続経常赤字を続けるなど決して株式上場できる経営基盤を作ることはできていない。政府、JRの貨物基本問題調査会は「鉄道貨物の意義は認めるが物流の中にあって競争原理の中で生き残れる経営改善」を確認したにとどまっている。しかしそれは会社が社員に徹底した人員削減と労働強化、賃金抑制を行うことをを押し付けていることにしかならないのだ。
 また東北、北陸、九州の整備新幹線の建設促進による並行在来線存続問題が急浮上してきた。とりわけ2002年完成を目指す盛岡、八戸間は第三セクターで運営と決まっているが三セク化による単線化問題、レール使用料の高騰化問題、経営悪化時の存続問題など何一つ解決していない。JR貨物のシェアーの中で43パーセントを占める東北線貨物にとってそれは死活問題である。
 JR貨物の将来については種種のマスコミによって日本通運の子会社化か旅客会社の子会社かと無責任に揶揄されている。確かにJRの保有株式は38万株であり額面50万円としても1900億円であり日通でも旅客会社でも買収できる価格であり膨大な一等地についても食指が動くこともあるだろう。しかし当面は火中の栗を拾うことにしかならない。前述した「構造矛盾」「経営矛盾」を解決する方策をJR貨物会社自身では決して決定できないことによってそれは一層、株式の上場を不可能と言うほどに困難にしているといえる。
 JR貨物を利用する通運企業にとってとりあえず他の輸送手段よりコストが安い間は利用し続けるという点に尽きている。それは常にJR貨物にコストの削減を強要しつづけることになる。「運賃をもっと下げろ、そうでないといつでもトラック便に引き渡すぞ」といったようにである。運輸産業労働者の横断的組織化が求められているのではないだろうか。

  会社間格差の拡大と減収

 賃金の問題もJR貨物労働者にとってより深刻である。昨年の一時金は年間4.25ヶ月で今年が3.7ヶ月だとすると年間0.75ヶ月少なく貨物会社としては総人件費としてそれだけで約25億削減できる。その分に等しい28億が経常損失対前年比改善になるという中間決算報告がなされている。社員からの収奪によってのみ単年度の営業損失を減らしていると言うことだ。会社間格差の拡大も大きくなっている。25日昨年同様3.15ヶ月の回答の出たJR東日本と比較すると年間で2.05ヶ月、額にして48万円低く通算で8.4ヶ月低い結果となる。またJR東日本では55歳で賃金の85%57歳で78%に減額されるがJR貨物は55歳待ったなしで70%まで減額されるのだ。年収が減少していることや会社が貨物の将来展望を示せないことによって管理者は自信喪失、多数派組合、JR総連系JR貨物労組組合員の不満や不安も増大して職場では国労組合員とJR貨物労平成年採用組合員との間の垣根がなくなりつつあることが多数報告されている。
 11月29日になってJR貨物は年末一時金1、755ヶ月の回答を示した。6千人体制の承認と引き換えに多数派組合JR貨物労組合員の不満に配慮した分と思われる0、005ヶ月分は原資としてはたった1500万円にしかならないし一人当たりに換算しても1500円にしかならない。生活破壊もはなはだしいと貨物協議会は怒りを込めて回答を批判している。


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