古文書倉庫(たまねぎ文庫)を開設するにあたって

2016/11/24

 当サイトの開設当初(1997)の名称は「電気玉葱」(Onion on the Web)という珍奇なもので、「玉葱の皮むき」という欄に謎の言葉が書き込まれていました。
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 思想的営為としての「玉葱の皮むき」とは何か? その深遠な(?)内容が解き明かされる日は、いつか来るのだろうか? 「電気玉葱」(Onion on the Web)という珍奇なネーミングの秘密は、近日中に明らかになるはずです…が、…たぶん…??。(ハッハッ)
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 今回、古文書倉庫(たまねぎ文庫)を開設するにあたって、開設から20年目にしてついにこの言葉の秘密を明らかにしたいと思います。(笑い)。
 実は、「たまねぎの皮むき」という言葉は私の言葉ではなく、政治学者の加藤哲郎氏の言葉です。1980年代末、長く続いた米ソ対立の枠組みが崩壊し、東ヨーロッパの社会主義諸国が雪崩をうって西ヨーロッパ資本主義圏に統合されたのに続いて、1917年の革命によって史上初の社会主義政権を樹立したソビエト連邦までが崩壊して資本主義に回帰し、長く続いた米ソ対立を軸とした世界は、アメリカを盟主とする資本主義の一極的な世界に変貌をとげつつありました。
 こうした事態は、1917年のロシア革命に起源をもつ各国共産党の政治運動に深刻な再検討を迫ったのみならず、ソビエト、中国など「現存社会主義諸国」を批判して、真に自由で平等な、いわば「本当の社会主義」をめざしていた世界各国の新左翼運動にも大きな再検討を迫ったのです。
 加藤哲郎氏はそうした中で、私たちが闘いの根拠としてきたもの、私たちが指針としてきた理論など、総体のうちの、何が間違っていたのか、何が正しかったのか、そして、新しい時代のをどうとらえ、何を指針とすべきなのかといったこと全体を、根っこから考え直す必要があるとして、「たまねぎの皮むき」という営為を提起されたわけです。
 当時、第4インターナショナルという国際的な新左翼運動の日本支部に属していた私にとっても、「たまねぎの皮をむく」ことは切実な課題として意識されました。古文書倉庫(たまねぎ文庫)では、主に、そうした時代=私がたまねぎの皮をむいていた時代に書いたものを、当時のままで公表していこうと思います。

 「そんなことして何になる? 第一、そんなもの誰も読まん! 俺ももちろん読まん。(哄笑)」

 当然の声です。今の私の考えから大きく離れてしまった文章ですし…。文章を書いた時に属していた組織から離脱して無党派の1個人となってから20年ほど経過しているし…。第一、今読んだら吹き出してしまう大間違いだらけの文章だし…。でも公表しようかなと考え始めたのはずいぶん前のことなのです。(何でだろうな? 自分でもよくわからんが…笑い)。