戻る

東京自動車脱退強要事件

 87年11月、当時の花崎自動車事業部総務課長(現JR東日本常務取締役)が、国労東京自動車営業所分会の分会長宅を訪問し、脱退を強要した事件。
 自動車職場では88年に分離子会社化が予定され、労働者のあいだで、それを機会にバス職場から排除されるのではないかという不安が広がっていた。会社側は日夜、「国労にいたのでは差別されるよ」と組合員にささやき、管理者が家庭まで訪れて「あなたの父ちゃんはこのままではだめだ」と言ったため、妻が仲人や親戚に相談して、「お父さん抜けて」と泣きながら訴えるといった事態がおこった。花崎課長は分会長宅を訪れて「あんたが来てくれなければ困る」などと脱退を求め、「もし応じてくれなければ組合員4〜5人を強制配転させる」と脅したというもの。
 国労は87年12月に不当労働行為の申し立てを行ない、東京地方労働委員会、中央労働委員会とも、会社側の不当労働行為を認定したため、JR東日本側がそれを不服として行政訴訟を起こしていたが、1審の東京地裁でも会社側が敗訴していた。
 97年9月9日、東京高裁が会社側の主張を退ける判決を出したことで、ついに会社は最高裁への上告を断念、9月22日、非を認める謝罪の書面を国労に提出してきた。花崎氏は、現在JR東日本の常務取締役であり、97年6月の株主総会で、会社側を代表して「労働委員会は事実誤認している」「当社は適法に運営されている」などと答弁した当の本人である。現在、経営の中枢にいる者が直接関わった違法行為が裁判所で最終的に認定されたという事実は、今後の闘いに大きく影響すると思われる。

(国労機関紙「国鉄新聞」'97/09/12 および '97/09/26 より)


JR東日本が国鉄労働組合に提出した謝罪の書面

平成9年9月22日

国鉄労働組合東日本本部
執行委員長 飯田 勉 殿

国鉄労働組合東京地方本部
執行委員長 酒田 充 殿

国鉄労働組合東京地方本部関東自動車支部
執行委員長 田淵 正雄 殿

東日本旅客鉄道株式会社   
代表取締役 松田 昌士

 昭和62年11月27日、当時の当社自動車事業部花咲淑夫総務課長が貴組合の組合員であった古家信郎氏の自宅を訪問し、同氏に対して、「国労に残っていては駄目だ」、「あんたに来てくれなければこまる」などと申し向けて、貴組合からの脱退を勧奨したことが、不当労働行為に該当すると、東京地方労働委員会において認定されました。
 今後このようなことのないよう留意します。


国労・国労弁護団の連名による声明(要旨)

 JR東日本は、最高裁への上告を断念し、東京都労働委員会の命令に基づき、申し立て人に自らの不当労働行為を認める文書を交付した。花崎常務取締役は、JR東日本の株主総会で「不当労働行為は一切行なっていない」とJR東日本を代表して答弁しているが、自ら行ない、JR東日本もようやくにして認めた不当労働行為について厳しく受けとめ、謝罪の態度を明らかにすべきである。JR東日本は、組合に謝罪するとともに、労使紛争の全面解決のため、真摯な態度を示し、正常の労使関係回復を表明すべきである。私たちは、1日も早い労使紛争の全面解決と正常な労使関係回復のために、全力を尽くして闘う決意である。


先頭へ